2022-2023年度 SDGs TRY 各チームの取り組み紹介
SDGs TRY 2022-2023に参加し、活動してきた5チームの取り組み内容をご紹介します!
それぞれ関心のあるテーマで、課題解決に向けてアクションを実施しました。
Aチーム「大師堂復活プロジェクト」
Aチームは、交流や自然に関心があるメンバーで構成され、「つくばの自然をテーマに交流を生み出し人々が繋がりそして未来へ繋ぐ」ことをテーマに活動しました。
つくば市北東部の小田地区には、標高461メートルの山「宝篋山(ほうきょうさん)」があり豊かな自然があること、ハイキング客は来るものの地域との交流はないことに目をつけ、まずは課題の現場を見るために小田地域でのフィールドワークを実施。宝篋山の麓をハイキングしてきれいな竹林があることや、大師堂というお寺の関連施設が古びて使えなくなっていること、近隣のNPOが地域の交流を生み出そうと動いていることなどが分かりました。
そこでAチームが考えたのが「大師堂復活プロジェクト」。
かつて住民の拠り所であったという大師堂は、自然豊かな宝篋山の登山ルートの途中にあり、周辺にはかつてお寺や城などが存在した歴史もあります。近隣に住む方のご協力をいただきながら、自然保護・登山道整備・建物保全・歴史や文化体験など、大人も子どもも楽しめるアクションをこの建物を拠点に行おうという方向性にまとまりました。
メンバーで大師堂の中を確認して、大師堂を復活させてどのような用途があるか考え、みんなが集まる場所にしたいと想像を膨らませました。
2023年7月には、大師堂周辺で「宝篋山の大師堂の活用を考えよう!」というイベントを実施。インスタグラムや市の広報で参加者を募りました。当日は宝篋山への登山者を中心に、大師堂の前に集まった方に飲料や協力NPOのグッズ販売を行いつつ、どんな大師堂の活用を希望するか、付せん紙に書いてもらいました。
イベントで集まった「大師堂をこう活用したい」の声
- 宝篋山の山小屋になって欲しい
- トレイルランナーの休憩所があると嬉しい
- ベンチがあると休める、ソフトクリームを売っていれば最高!
- 情報発信のベースにできればいいと思います など
当初の計画では、その後大師堂の修繕や他のイベントにも取り組む予定でしたが、メンバーのスケジュール調整や、大師堂修繕の許諾をいただくことなどの困難もあり、実施には至りませんでした。
しかし、1回でも自然×交流をテーマにしたイベントを主催することで、「宝篋山域には山小屋のようなご飯を食べたり、お茶を飲んだりして休憩できる場所が少ないと思っている人が多いと裏付けが取れた」という成果や、「自然保全の意識を高めて欲しい市街地の人に来てもらいたいなら、開催場所を街の中にした方がいい」などの新たな気づきを得ることができました。
今後はAチームとしての活動は継続しないものの、一部メンバーが大師堂の修繕に取り組む、インスタグラムの更新を続けるなど、それぞれが自分にあったSDGsの活動に取り組んでいく予定です。
Bチーム「おやこの未来応援フェスタ」
Bチームは、子育て世代のメンバーも多く「子ども」をキーワードに活動を続けてきました。
まずは「子ども」から、各メンバーが持っている課題意識を共有しあい、「不登校や貧困、ひとり親家庭など、困難を抱えている子どもとその親の課題を解決したい」という方向性に決まりました。
何を解決のアクションとするかを考えるために、現状の困りごとを調査していく中で、実はつくば市内には数多くの支援団体がすでに存在して活動していること、しかし困難を抱えている親子が、自分がどの団体に相談すればいいのかという情報網や、支援団体間の連携が足りていないという課題に気づきました。
そこでBチームは、自分たちで支援活動をするのではなく、ターゲットとなる親子と市内の支援団体をマッチングするイベントを開くというアクションを企画しました。
ターゲットとなる親子が集まりやすい場所はどこか?子どもが遊べるスペースもあった方がいいのでは?どれくらいの団体数を集めればイベントとして成立するか?誰がどうコミュニケーションを取るか?など、全てメンバーで案を出し合いながら、役割分担をして準備を進めていきました。
そして迎えた2023年7月30日、9つの支援団体の協力を得て、イオンモールつくばにて親子と支援団体をつなぐ「おやこの笑顔応援フェスタ」を開催。
会場には、イベントには参加していない支援団体や行政サービスを紹介するパンフレット・チラシなどが並ぶとともに、9つの支援団体がブースを設置。小さいお子さんも楽しめるようプレイスポットなども用意しました。
その結果、80名を超える方が来場され、来場者と支援団体がじっくりとお話ししている様子もあり、Bチームのメンバーは、目指していたつながり作りに手応えを感じることができました。
実施レポートの詳細はこちらをご覧ください。
Bチームのメンバーは、イベントの企画・主催を通して「つながり」の重要性を実感したほか、まだまだやれることがたくさんあると可能性を感じたと振り返りをしました。
今後は、Bチームとしての活動は未定ですが、「小さなことからでも自分が取り組めることを続け、ゆるくつながり続けて行きたい」「経費を抑えて何度でもTRYできる仕組みを考えたい」など、今後も子ども支援に積極的に関わっていきたいという思いを共有しています。
Cチーム「国際交流会」
Cチームは、職場や学校、留学、海外赴任経験などを通じ、多文化共生に課題と興味を感じていたメンバーが集い、つくば市に住む外国籍の方の課題解決をしようと活動を始めました。
まず、つくば市内の外国籍の市民が抱える課題をカスタマージャーニーに見立てて整理し、Cチームが焦点を当てるべき課題の絞り込みを行いました。その結果、生活の基盤が整った後の、日々の生活の中で感じる不便さや、地域住民との交流の不足といった課題解決にフォーカスすることを決めました。
そしてアクションとしては、持続的なつながりの入り口として国際交流会を定期的に開きながら、外国籍の参加者から生活上の困りごとをヒアリングしていきました。
1回目の交流会はさくら民家園を借り、やさしいにほんごの防災カルタを楽しみながら、つくば市での暮らしの不便さをヒアリングしていきました。この回には6か国20名の参加者が集まり、積極的に意見を出してくれたので、Cチームの今後の活動の元となりうる情報を得ることができました。実施レポートはこちら。
<外国籍の参加者から寄せられた困りごと>
- 公共施設に祈祷設備がない
- つくタクの予約は電話のみのため英語NG、アプリ化できないか。
- 市から頻繁にメールが届くが、緊急ですぐに市役所に行かなければならないのか、急ぎでない情報なのかが分かりづらい など
2回目の交流会は、外国籍の参加者が集まらなかったため、Cチームのメンバーだけが集い、1回目の交流会で出てきた困りごとをどうやったら解決できるかのアイディアを出し合う時間としました。
3回目の交流会は、日本料理の教室を食生活改善推進員さんの協力を得て実施し、ばら寿司、郷土料理のっぺいじる、利休まんじゅうを楽しみました。
外国籍の参加者は、料理のレクチャーを真剣に聞いてメモしながら料理するなど、日本料理を学ぶことを楽しんでいたようです。また、※ハラールフードについて学ぶ機会もあり、日本人参加者も満足度の高い交流会となりました。
※ハラールフード・・・イスラム教において食べることが許されている食品
Cチームは今後も活動を続ける方向でいます。ただ、メンバーだけで続けることは難しさもあるため、既存の市民団体やパートナーズ団体会員の企業とコラボして取り組みを継続する方法を模索していく予定です。活動が続いていけば、ゆくゆくは市民団体としての登録を行い、外国籍市民困りごと解決サイト立ち上げなどにもチャレンジしていきたいと考えています。
Dチーム「CO2削減につながる生活の知恵の発信」
Dチームは、地球温暖化や脱炭素、ごみ削減、食糧問題など、気候変動や環境問題に関心のあるメンバーが集い、活動を行っていきました。
テーマが壮大なため、市民レベルで実現可能なアクションは何なのか?という問いにメンバーも非常に頭を悩ませ、具体のアクションを決めるまでに多くの議論を要しました。多忙で参加が難しくなるメンバーもいる中、議論を重ね、「無理なく、楽しく!」を合言葉に、日常生活のちょっとした工夫でCO2削減につながるアクションの啓発を実行することにしました。
「ガスを使うより電気を使う方がエコ」というのはよく聞きますが、Dチームは「本当にそうなのか?」と検証を行った上で正しい啓発をしようと動きました。1リットルの水をガスコンロと電気ケトルで沸騰させる際に、排出される二酸化炭素の量を比較。その結果、電気ケトルの方が、沸騰までの時間も排出量も少ないことが分かりました。
その結果をもとに、ホテル日航つくばで行われたイベント「SDGs Day」へのポスター展示と、「つくバス」へのポスター掲示を行いました。
「SDGs Day」への展示は、SDGs TRYの参加者で団体会員であるホテル日航つくばさんからお声かけをいただき、チームメンバーが上記の結果とCO2を減らせるレシピをデザインしてポスターにしました。
展示の際には来場者が「へえ!」と思ったら「へえの実シール」を木のイラストに貼ってもらう、という仕掛けを作ったところ、多くのシールが貼られ、見た人の反応を得られたことはメンバーにとって喜びとなりました。
つくバスの北部シャトル・南部シャトル・谷田部シャトルの3つの線で9月〜10月の1か月間ポスターを掲載しました。バスへの広告掲示は初めての挑戦。右も左も分からないところからのスタートでしたが、一つ一つ担当者に問い合わせ、ポスターを掲示するルートの選別や、掲載期間、掲示場所の規格に合わせたポスター作成などをメンバー自ら行っていきました。
Dチームは今後チームとしての活動は予定していませんが、個人でできる小さな取り組みを続けていく予定です。
Eチーム「里山ウォークラリー」
Eチームは、資源循環、教育などに関心の高いメンバーが集い、常に情報や意見を積極的に交わしながらチームのアクションを進めていきました。
同じテーマでも、個人で少しずつやりたいことは違う状態から、丁寧にすり合わせを行った結果、「便利を優先させてしまう消費社会で、分別せず燃やせるごみに捨ててしまう人もいる中、このままでは美しい地球を次世代に渡せない」という共通の課題意識を共有することができました。
そして、資源とごみの切り分けをなくした自然環境と調和する社会を目指すために「里山ウォークラリー」というイベントと、市民への意識調査を実施しました。
里山ウォークラリーでは、自然を楽しみながら循環社会を考えることを目的に、Eチームのメンバーが所属するNPO法人宍塚の自然と歴史の会が管理している宍塚の里山をフィールドとしてお借りし、実施しました。
子どもを含む20名の参加者が集まり、自然豊かな里山を約4km歩きながら、22問のクイズに挑戦しました。クイズはその季節に合った動植物や自然の循環に関する内容で構成されており、解説を読みながら、親子で問題に取り組み、現地でメンバーによる解説を行うことで里山の大切さや意義を考えるきっかけとなるように設計しました。
参加者の満足度は非常に高く、充実した内容であった一方、メンバーは参加者募集に想定より時間がかかったことを課題として認識し、次回行う場合はSNSや市の広報を使うなどの告知施策を検討するなどの改善点が見つかりました。
また、つくば市民が環境問題や循環社会について何を課題と思っているのかを調査するために、アンケート調査を実施しました。
その結果、1300人以上からの回答が集まりました。
ごみの削減に対して取り組めていないこととして生ごみのコンポストがあがったり、今後参加したいワークショップに植物や動物に関するものがあがったりするなど、今後の活動の検討材料になる声が集まりました。
また、自由記述で身近な環境変化を聞いたところ、160人もの方が「森林が太陽光パネルになって悲しい」という声が集まり、気候変動対策のための取り組みが環境破壊を起こしているジレンマにはっとする気づきもありました。
Eチームは、それぞれの仕事や家庭もあるため、これまでのように頻繁に活動することはしない方向としたものの、アンケートで得たことを生かす取り組みには挑戦していきたいと考えています。無理をせず、ゆるやかにつながり、一人一人が持続的に活動を続けていける状態を目指しています。
問い合わせ先
このページに関するお問い合わせはつくば市役所 政策イノベーション部 持続可能都市戦略室です。
〒305-8555 茨城県つくば市研究学園一丁目1番地1
電話番号:029-883-1111
メールでのお問い合わせはこちら- 2024年3月6日
- 印刷する